浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第21章 エリュシオン〜幸福者の国〜
(6)
田舎の停留所にバスが停まる
そしてすぐにバスは発進して去っていった
降り立ったのはナオトと金髪の西洋人の少女
まわりは段々畑が広がっている
畑の向こうには民家がいくつか見える
田舎町だが、民家の向こうにはいくつかのマンションも見える
夕方
棚田は金色に輝く
サァーっ!と風が吹いて次々と棚田の水面が揺らぐ
少し暗くなってきて、街灯が灯る
舗装された道の脇からは雑草がアスファルトを突き抜けて生えている
住んでるときはこの田舎があまり好きではなかった
早くここから出て行きたかった
外の世界には可能性があった
でも
久しぶりに訪れるこの場所は
本当に懐かしい
何故かこの夕陽に照らされた光景を見て
ナオトは涙がつたう
金髪の少女が不思議そうな顔をして覗き込んでくる
“大丈夫……なんでもないよ
ただ……2度と戻ることは無いと思ってたのに
こんな気持ちになるなんて…
そうだね
もしかしたら、キミにこの景色を見せたかったのかもしれない…
何にも無いどこにでもあるただの田舎なんだけど
ここにはたくさんの思い出があるんだ…
そうだね、またふたりでここに来よう
そして、ふたりで新しい思い出を継ぎ足していけたらいいね…”
ふたりは陽が沈むまで赤黒い夕焼けに染まる山々の風景を見ていた
※※※※
管制塔もパニックになっている
オペレーターたちが慌てふためいている
「シンシアさん!シンシアさん!」
「ダメだ!意識を失ってる!
頭を動かすな、倒れたときに打ってるかもしれない」
「ドクター!ドクターを呼んで!大至急!」
田舎の停留所にバスが停まる
そしてすぐにバスは発進して去っていった
降り立ったのはナオトと金髪の西洋人の少女
まわりは段々畑が広がっている
畑の向こうには民家がいくつか見える
田舎町だが、民家の向こうにはいくつかのマンションも見える
夕方
棚田は金色に輝く
サァーっ!と風が吹いて次々と棚田の水面が揺らぐ
少し暗くなってきて、街灯が灯る
舗装された道の脇からは雑草がアスファルトを突き抜けて生えている
住んでるときはこの田舎があまり好きではなかった
早くここから出て行きたかった
外の世界には可能性があった
でも
久しぶりに訪れるこの場所は
本当に懐かしい
何故かこの夕陽に照らされた光景を見て
ナオトは涙がつたう
金髪の少女が不思議そうな顔をして覗き込んでくる
“大丈夫……なんでもないよ
ただ……2度と戻ることは無いと思ってたのに
こんな気持ちになるなんて…
そうだね
もしかしたら、キミにこの景色を見せたかったのかもしれない…
何にも無いどこにでもあるただの田舎なんだけど
ここにはたくさんの思い出があるんだ…
そうだね、またふたりでここに来よう
そして、ふたりで新しい思い出を継ぎ足していけたらいいね…”
ふたりは陽が沈むまで赤黒い夕焼けに染まる山々の風景を見ていた
※※※※
管制塔もパニックになっている
オペレーターたちが慌てふためいている
「シンシアさん!シンシアさん!」
「ダメだ!意識を失ってる!
頭を動かすな、倒れたときに打ってるかもしれない」
「ドクター!ドクターを呼んで!大至急!」