浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第21章 エリュシオン〜幸福者の国〜
(11)
「まずはアナタが少しでも回復しないと…」
「わかってるよ、弱い姿をアイツに見せるわけにはいかないから…」
「それは大丈夫、まだ自力では動けないの」
「…たしかに、私はまだ……」
「?……アナタじゃなくて、ナオトの話しよ?
まだひとりで動けるような状態じゃないの」
「……」
「……」
「悪い冗談」
「だからそれまでのあいだ、まずアナタが元気になって、顔を出してあげてね」
「……どういう事?」
「…? だから……アナタが……」
「……アイツは?」
「ずっと集中治療室よ……、まだ不安定なの」
「……生きてる?」
「たしかに死んでたのよ……、
あのときソニアちゃんの判断が遅かったら……」
シンシアの目の色が変わった
いきなり立ち上がろうとする
が、身体のバランスを崩してしまう
床に転げそうになったところで女医がしっかり支えてくれた
「…いいから、連れて行って!」
「…でも、……アナタそんなに…」
「ドクター!私が金切り声をあげてアナタに飛びかかるまでに、早く!」
渋々、女医は折りたたみの車椅子を用意して、ふたりで部屋から出た
集中治療室はそんなに離れていない
ものものしいセキュリティをスキャンして、入った詰め所のまだ先に治療室はあった
部屋に入ると、床はコードだらけだ
そのコードは中心のベッドに伸びている
ベッドの上には何本ものコードに繋がれた少年が横たわっていた
覚醒していたようで、首だけがこちらを向く
シンシアは思わず車椅子から飛び出した
「た、たい……ちょ……」
かすれた声でナオトは言葉を発した
シンシアは崩れるように彼の身体に覆いかぶさった…
「まずはアナタが少しでも回復しないと…」
「わかってるよ、弱い姿をアイツに見せるわけにはいかないから…」
「それは大丈夫、まだ自力では動けないの」
「…たしかに、私はまだ……」
「?……アナタじゃなくて、ナオトの話しよ?
まだひとりで動けるような状態じゃないの」
「……」
「……」
「悪い冗談」
「だからそれまでのあいだ、まずアナタが元気になって、顔を出してあげてね」
「……どういう事?」
「…? だから……アナタが……」
「……アイツは?」
「ずっと集中治療室よ……、まだ不安定なの」
「……生きてる?」
「たしかに死んでたのよ……、
あのときソニアちゃんの判断が遅かったら……」
シンシアの目の色が変わった
いきなり立ち上がろうとする
が、身体のバランスを崩してしまう
床に転げそうになったところで女医がしっかり支えてくれた
「…いいから、連れて行って!」
「…でも、……アナタそんなに…」
「ドクター!私が金切り声をあげてアナタに飛びかかるまでに、早く!」
渋々、女医は折りたたみの車椅子を用意して、ふたりで部屋から出た
集中治療室はそんなに離れていない
ものものしいセキュリティをスキャンして、入った詰め所のまだ先に治療室はあった
部屋に入ると、床はコードだらけだ
そのコードは中心のベッドに伸びている
ベッドの上には何本ものコードに繋がれた少年が横たわっていた
覚醒していたようで、首だけがこちらを向く
シンシアは思わず車椅子から飛び出した
「た、たい……ちょ……」
かすれた声でナオトは言葉を発した
シンシアは崩れるように彼の身体に覆いかぶさった…