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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第22章 〜休暇〜

(2)


マリコもナオトも車椅子を使ってはいるが動けないわけではない


じゅうぶんシンガポール本島の病院で治療を受け


ゆっくり養生することになっていた


病室で籠もっていたのも飽きたアンジェラのアイデアで、外の空気を吸いに行こうと声をかけ


本島から一日2便しかないセントジョーンズ島までやって来た



観光客は朝の船にやってきて、ビーチを楽しんだり、森の中のサイクリングを楽しみ、浜辺でバーベキューやシュノーケリングを楽しむ


そして夕方の便で帰っていく


本島からの観光客が日帰りで昼間に自然を楽しむ無人島だ


夜はほとんど人がおらず、いくつかのバンガローがあるものの



泊まり込む観光客は少ない


みな本島でホテルがあるか、駐在員は集合住宅地のコンドミニアムで暮らしているからだ



キュールシュランクも病院も閉鎖空間ばかりだったので、アンジェラのアイデアは悪くなかった


“ふたりだったらここまで行動はしてないだろうな…”



シンシアはアンジェラとマリコに感謝していた


ただし



ふたりっきりの時間はまったくない


それだけが不満と言えば不満だ



最初は遠慮していた現地人のリンも馴染んで一緒のテーブルで食事をとる



リンとマリコはお揃いのサマードレスを着ていて東洋人同士のためか仲の良い姉妹に見える



西洋人コンビのほうはと言えば

ゴージャスなアンジェラと

小悪魔的なシンシアの容姿を見て

きっと姉妹には見えないだろう



リンから見てこの4人の宿主はどういう風に見えるのだろう


食事を終えて、みなバラバラで自由きままに過ごす



ナオトとマリコはバンガロー周りをうろちょろと散歩する程度であまり無理はしていない


シンシアはアンジェラに誘われてビーチで泳いだり、明るいうちからカクテルを飲みながらシートで横になったり


それぞれがバカンスを楽しんだ


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