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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(3)

帰宅したサァシャは現実の世界に帰ってきた


共働きのサァシャとグエンは二人とも夜に帰宅するため早く夕飯の用意をしなければならなかった


手軽にサッと海老を炒め、

冷凍の揚げ春巻きを温める

インスタントのムラサキ芋のあっさりスープで完成


出汁をとったり、手の混んだ料理をするような時間的余裕の無い生活だった


ちょうど一段落した頃に旦那のグエンが帰宅した


単車のヘルメットを脱ぎ、シャワーを浴びる


その間にサァシャは食卓に皿を並べていく


グエンは物静かな性格なので、あまり余計なことは言わない


さらに連邦軍関連の仕事でもあるのであまり口外できないこともあるようだ



さらに嫁のサァシャは民間とは言え企業連合に所属する関連企業だったので、うかつなことは言わないようにしていた


贅沢な暮らしは出来ない二人だったので、質素な生活ではあるがそれも自分たちだけではないのだと信じ込むようにしていた


ベトナム人の夜は早い


彼らは睡眠時間をとても大切にしている


サァシャはベッドに横たわると、いつもの日常がようやく終わったとため息をついた


そうだ、明日は少しあの思い出の路地をもっと奥まで歩いてみよう

サァシャは思春期の頃、クーとの思い出の場所を想いながら眠った


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