テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(7)

翌朝、いつものように出勤したサァシャだが


新しい社屋は見るも無惨な姿となっていた


夜の間に連邦軍と企業連合軍の小競り合いがあったらしい



周囲は非常線が張られ、警察や軍の関係者がたくさん取り囲んでいた


遠巻きに非常線の外から眺めていると、中から同僚が手招きした


どうやら関係者は許可されるらしい


入館証を提示して中に入ると、スタッフ総出で倉庫の品物を持ち出す作業をしていた


「また新しい場所に移転させるから、使えるものは全部出せってさ」



同僚はどこか楽しそうだ


サァシャは自分の持ち場を探して奥の方に歩いていった



そのとき



建物がゆっくりと震えだし、土煙をあげた


再びビルが倒壊しようとしている




周囲から悲鳴があがる



照明が明転する



サァシャは壁の手すりにしがみついたが




手すりごと壁から離れ、床が抜け落ちていった




サァシャは壁ごと床の下に吸い込まれていった



ストーリーメニュー

TOPTOPへ