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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(8)

建物の揺れもおさまった


あたりの土ホコリが凄まじい


結構な高さから落下したような気がする


マットレスや段ボールの山の上に落ちたので身体に痛みは無かった


あたりは真っ暗だ



遠くの方でバチバチと音がする


サァシャは立ち上がり、スマホの灯りで周囲を見渡す


もともと軍の工房を間借りさせてもらっていた職場なので、軍の地下倉庫のような場所に落ちたようだ


あまりスマホのバッテリーを消耗しないほうがいいかも、とサァシャはバチバチ音がなる場所へ向かった


スマホからの灯りはか細く、頼りない


あたりはガレキだらけだが、歩けないことはなかった


意外と近い場所で光が点滅している場所がある



太いケーブルが断線して、ショートしているようだ



火花が散っても爆発が無いので揮発ガスなどは出てはいないだろう



とりあえず灯りの代わりが欲しかった


サァシャは金属製の道具箱のようなコンテナケースを見つけ、そこにあたりに散らばっていた書類を投げ込む


そしていくつかの木材も投げ込んでいった



床に直接火をくべると火事になってしまうので、いったんこのケースで火を起こし、火の手が広がらないように考えた


ケーブルから出る火花を火種にして、木材に火をつけ、それをケースに投げてみた


ケース内で火は移り、簡易的なストーブのようなものになった



ぼんやりあたりが明るくなる



どうやらかなり広い空間らしい



上を見上げてみるが、光は見えない


あたりに人影も無かった


使われていない軍の倉庫はいくつもの段ボール積まれていて、それらが崩れていた



どうやら非常時の物資を貯蔵するスペースのようだ


なにか手助けしてくれる道具があるかもしれない


サァシャは手当たり次第に段ボールを開けていった


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