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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(9)

支援物資の倉庫とあって、乾電池や乾燥食料、ペットボトル、ライトなどがすぐに手に入った


ケーブルがバチバチとショートしたのがこの場所で良かった


とりあえず水分を摂り、乾燥パンをくわえながら、いま自分は孤立していることを実感していた


非常に危険な状況だ


来るか来ないかわからない救援よりも、ここからの脱出を試みたほうが早いかもしれない


地下倉庫があるのなら、階段を探せば地上に戻れるかもしれない


ひといきついたサァシャは避難用のリュックに積めれるだけの物資を詰めて、この場所を離れた




とにかくライトと乾電池が手に入ったのは心強かった


倉庫から通路を歩いていくが、壁も天井も剥がれ落ちていて元の状態がよくわからない



どこまでが直線で、どこまでが部屋なのか



何もかも崩れ落ち順路がまったくわからなかった



階段を探すどころか、いま歩いてきた道がどうなっているのか


ガレキを避けたり、乗り越えたり、飛び降りたりしてるうちにだんだん方向感覚がなくなってくる



いまライトで照らしているのは奥なの?

それとも横?

まさか来た方向じゃないわよね?


サァシャは泣き叫びたい気持ちをグッとこらえた


パニックになってはいけない


余計状況が悪くなるだけだ


冷静に、


落ち着いて


とにかく手がかりを探すのだ


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