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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

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この孤立した状況はもしかしたら自分に与えられた罰なのかも……


夫がいる身で、他の男に抱かれることを想像した愚かな自分に


この苦行は淫らな自分に課せられた罰なのだ、とサァシャは自問自答していた



欲深いサァシャ!

己の不相応な欲望を持ってしまった貴方が悪いのよ!


ちょっと昔の知ってる町並みを、ただ懐かしがってるだけで良かったのに!



昔のオトコに抱かれることを妄想しながら、夫とセックスしているなんて!



なんておろかなの!



ガレキを乗り越えながら、自然と涙が出てくる



バカバカしい自分



下品な自分



地獄に落ちろ、と言うけれど

私はいま生きながら地獄を味わっているのだ



このまま体力が尽き、食料も尽き、明かりも消えて、暗闇の中で息絶えるのだろうか




         絶望




サァシャは今、未来が消えていくような気がして血の気がひいていった



とにかく


進むしかない




地上に戻れるきっかけを探しながら、とにかく前へ前へと進んでいった……


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