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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

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どれだけ歩いていただろうか


いつの間にか広い空間に出ていた


天井は見えないくらい高そうだし、床の亀裂は光が届かないくらい深そうだ


吹き抜けの回廊のような雰囲気で、まるで大きなショッピングモールのような広さだ


深夜の建築現場のビルの中をさまよっているような感覚になる



とにかく下に落ちないように


とにかく上に戻れる場所を探すように


サァシャは上下左右をキョロキョロしながら歩いていく



数十メートルはあろうかという深い谷


地下の倉庫だったはずなのに、まるでどこかの巨大な洞窟の中に居てるようだ


あらためて周囲を照らしてみる



すると




光で当てられた大きな壁が……



いや、壁のように巨大なだけで、壁ではない


「きゃぁぁぁあッッッ!!!!」



光で照らされたのは巨大な



      「顔」




立体的な建造物が目の前にあった



こんな地下に大仏…?


たしかにベトナムは仏教の影響が色濃い地域だが、こんな地下に大仏なんて!聞いたことがない



暗闇のなか、ライトに当てられた場所だけ浮き上がる巨大な「顔」



サァシャは「神秘的」と捉える余裕もなく「恐怖」を感じていた



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