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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(12)

巨大な「顔」



それではこの吹き抜けの床の下の方には「身体」があるのだろうか?



しかし「顔」の存在が恐ろし過ぎて、サァシャはそこから近づけなかった



見てはいけないものを見てしまったのかもしれない……!



サァシャはゆっくりと後ずさり、その場を離れようとした




その進路を阻む大きな塊



ベッドのような大きなテーブル



光を当ててみると、それは大きなカプセルなことに気づく


なんなんだろう?



まるで「棺」だ




ライトを当ててじっくり観察してみると、その表面はホコリが積もっているだけで、カプセルそのものは透明なカバーで覆われていることに気づく



パッパッと手で払ってみる



恐ろしいことに、その透明なカバーの中に



人間の腕が見え隠れしている!




「ひぃッ!」


声にならない


サァシャは恐ろしくてたまらない



こんな真っ暗な地下で、死体を見つけてしまった!?



おそるおそるライトをゆっくり当てていく



中に居てるのは……、確かに人間の姿だ



それも、男性



顔はまだ良く見えない


だがそれ以上ホコリを払う勇気も無かった



いや、



その棺の中の人物の手



彼の指




指に嵌めているシンプルな指輪



何故か……、見覚えがある



あれは、たしか……




私が若いとき……




たしかクーの誕生日に渡した「指輪」……!





似ている




クーにプレゼントしたあの指輪に!



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