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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(14)

絶望感に打ちひしがれるサァシャ


呆然としながらも、視線はカプセル内の少年から目が離せない



よくよく見てみると、カプセルの中はびっしり機械で埋め尽くされている


そして何かが光っている


光は定間隔で明転を繰り返している



なんだろう




棺というよりは、




SF映画で見るようなコールドスリープの機械のような……



もしかして




これは死体をおさめる棺ではなく、睡眠装置なのかもしれない


となると、この少年は生きているのだろうか?




サァシャはカプセルの周囲を見渡してみる



カプセルそのものに操作できそうなパネルは無いが、少し離れた場所に床から突き出た小さなテーブルのようなものがある


これが操作コンソールなのだろうか?




なんとなく表面のホコリを手で払ってみる


何度か払っていくうちにパネルが光り始めた


タッチパネル?



画面にはいくつかのアイコン、グラフなどが表示されている



グラフには定期的な光が流れている



なんとなく心臓のグラフのように思える



それにしても間隔はかなり長い



眠らされているからなのだろうか?



アイコンはいくつも並び、様々なモード設定を変えるもののようだが、もちろんただの主婦のサァシャにはさっぱりわからない



ただ



「sleep/awake」のアイコンが気になる



操作できるのだろうか 


このアイコンを押すと本当に蘇生されるのだろうか



蘇生した場合、何かしらの処置が必要なのだろうか



頭を悩ませはしたが、サァシャの欲望はひとつだった



「クーに会いたい」



サァシャはアイコンを押した




アイコンの色が変わり、awakeのほうの文字の色が変わる



そのとき、サァシャの背後にたたずむ巨人の「顔」、その眼に光りが灯り始めたことにサァシャはまだ気付かなかった……



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