テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(16)

名前を呼ばれた少年は不思議そうな顔をする


「……? そうだ、オレはクーだ

アンタは軍人じゃないのか?

何故オレを呼んだんだ

戦わせる為に起こしたんだろう?」



サァシャは涙があふれる!



おお……、本当にクー!



それもあの時のままの姿の……




信じられない……!!



しかし、時間とは残酷だ



彼からはサァシャを認識出来ていない


中年になってしまった己の姿


彼には気づけないのも当然だ




それほど容姿が変わってしまったというのか




哀しい再会……



これも、「罰」なのか……



「クー、私は……、私の名は……サァシャ」



「……サァシャ?」




クーは目を見張る



「……サァシャ? 本当に?

もっとこちらへ……、もっと明るい場所に来てくれ」


サァシャは一歩近づき、カプセルからの照明で顔を照らされる



「……サァシャ!」


「……クー!」




お互い認識し合えるようになって、ようやく二人は強く抱擁した




クーの顔が近づく



サァシャはハッ!と顔をそむけてしまう



「見ないで! 年老いた私の顔を見ないで!」




「……いや、いいんだ……、歳を重ねたキミの姿を見たい」



今度はサァシャは拒まず、ふたりは顔を近づけて唇を重ねたのだった……



ストーリーメニュー

TOPTOPへ