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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第23章 ベトナム編〜サァシャの罪〜

(17)


「クー、いったいあなたに何があったの…

それに……、その姿……」


サァシャは尋ねざるを得ない



20年の年月を無視した、思春期の頃の少年の姿のままのクー



「オレはベトナム人民軍に徴兵された後、あるプロジェクトに参加するために連邦軍に移籍したんだ……

“E計画”


当時そのコードネームで呼ばれていた特殊パイロットを生み出すプロジェクトに選ばれたんだ



“E計画”、エターナル・プロジェクトは感覚器官すべての老化を人工的に遅らせて、反射神経を極限まで高めさせた人体実験だったんだ……


細胞の老化は停止しているんじゃなく、強制的に休眠させられている


そしてその老化の目覚めは、いつ戻るのかまだわかってないんだ……


いつか突然に負荷が開放されてしまう……

おそろしい、


こんなのは悪魔の実験だ……



オレは北米、ドイツの研究所を転々と移動しながら、数年前からアジアの戦場に駆り出されてきたのさ……」



サァシャは言葉も出ない


かつての恋人は非情な軍隊のモルモットにされていたなんて……!



「このカプセルは……、眠らされていたの?」


「強制じゃないよ、眠っていても老化は止められないだろう?

コレはオレの専用マシンと同期させるためのカプセルなんだ


ん?


そうだ、オレが目覚めたということはアイツも起動したハズだ…!


それよりサァシャ、ここはいったいどういう状況なんだ?


とうしてキミが軍の機密施設に立ち入れたんだ?」



サァシャはここ最近の出来事、そして今朝の事故のことを伝えるのだった……


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