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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第24章 ベトナム編〜半面の怪人〜

(12)

黒い煙


赤い炎


サイコ・クラングは沈黙した……



司令官アースラは思う通りに事が運んでご満悦だ


“はじめから私が指揮をとっていれば良かったのだ!”



長い期間、足取りが掴めず苦渋を味わっていたのがバカバカしい



ようやく任務が完了した喜びに思わず笑みがこぼれる




以前の“奪取作戦”はことごとく失敗していた



量産クラングを総動員させた大掃討作戦も、


密林での奇襲作戦も


サイコ・クラングにはまったく葉が立たなかった……




アースラとクーはグール部隊と連邦軍の対立だけではなく、個人的な因縁の関係でもあった



もともと連邦所属だったエースパイロットの指揮官アースラは都市防衛の任に就いていた



とある研究所から託された案件



それがクーと試作サイコ・クラングだった



ニューホンコンを襲ったカラバ掃討作戦において都市防衛の重要性を説き、強力なパワーで制する案を模索していた



ただし、被験体クーはアースラの思う通りには動かなかった……



制御できない状況が長く続き、ふたりの間で対立が続いた頃

アースラは敵側の企業連合からアプローチがあった





部下の何人かはすでに企業連合の息がかかっていたのだ



建前の正義を振りかざす連邦軍だが、しょせんはアースノイドにこだわる古い政治家たちの言いなりだった



企業連合はそれらに反発


単純に経済をまわしていく企業連合の手段のほうが連邦軍よりも健全のように思えてくる



アースラは部下たちとともに企業連合トランキュリティ軍への転籍を果たすのだった……


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