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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第25章 〜哀しみのニック〜

(2)

ニックとアンナは小さい頃から一緒だった


御主人と侍女という関係にしてはふたりは幼すぎた


母親は優しい性格のため、特にふたりの仲の良さを咎めたりもしなかった



ただニックは大人ぶっていたいため母親の前では少し大人しかった



そのニックのお目付け役の侍女アンナは時にはお姉さんぶることも有ったが、ニックの母親が御主人様と強く認識しているので羽目を外すこともなかった



今日の訪問もどうせ兄スティーブの個人的な散財を注意しに出向いたのであろう



グリメット家の当主とは言え、ここ最近の金遣いの粗さが目に余っていた…



さらに良くない兵器商人との結び付きも気になっていた



本当の母親では無いものの、立場上プレッシャーを与えるために訪れたのだ



ニック少年と侍女アンナは手をつないでガラス温室へ入っていく




特にセキュリティもかかっていない



中はジャングルのような様相だ



巨大なヘゴの木


それに絡みつくポトスやモンステラ


足元には華やかな色彩のカラテアや赤いコルジリネなどが熱帯の植物で埋め尽くされている



温室内には蝶が飛び交っている



人間を気にしないのか二人のまわりを羽ばたいている



木の幹には数々の着生ランがしがみついて、綺麗な花を咲かせていた




ふたりはワクワクしながらガラス温室を探検していた


すると奥の方がなぜかにぎやかな声が聞こえる

それも数人の声



奥の方には温室内の小さな人工池があるはずだ



二人は数人の女の子の嬌声に近づいていった…


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