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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第25章 〜哀しみのニック〜

(3)

人工の池のまわりにはテラスがある


ちょっとしたあずま屋になっている


その小さなスペースには屋外用のファニチャーが置かれ、数人の子供たちがたむろっていた


似たような顔立ちの少女たち



だが双子などではない



金髪だったり、赤毛だったり、黒髪


肌の色も様々な女の子たち



スティーブ・グリメットに仕えるシュメッターリングの子供たち〈ビーネンフォルク〉


……〈ミツバチの群れ〉とスティーブが呼ぶ少女たち


「あれ、ニックじゃない?」
「ホントだ、ニックだ」
「アンナもいるよね」
「こっちにおいでよ」
「焼き立てのクッキーあるよ」


見た目の容姿はバラバラだが同じような顔立ちの少女たちは一斉に話しかけてきた


彼女たちとニックたちは以前にもこのお屋敷で何度か顔を合わせていた



女の子たちに囲まれてお茶会が始まった


侍女のアンナはあまり面白くなかった



ニックがまんざらでもない表情をしているのも気に障る



特にニックがお気に入りに感じている子が居てるのをアンナは察していた


少し肌の色の濃い中近東の血が混じったような少女



幼なじみを盗られまいと、アンナのこの日は胸元を強調した服を選んでいたのだが、あまりニックには効果が無かったようだ



“あんなペチャパイのどこがいいんだか!”


アンナは自分の年齢の割には豊かな胸元が、ニックには効いていないことを残念がるのだった…




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