浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第25章 〜哀しみのニック〜
(4)
ビーネンフォルクの少女たちには個別の名前が無かった
ひとりが全員で
全員でひとりだった
運命共同体のような少女たち
ニックが話しかけると、少女たちは騒ぎながらくっつき合っている
少女たち同士は腕を絡ませたり、少女たち同士で抱きついたり、とにかくスキンシップが多いように見える
その中で肌の色が濃い女の子だけはいつも笑いながらも一瞬だけ遠い場所を見ているようで、それがニックの目に止まったのだった
それからもその少女だけは個別認識してしまい、いつも目が追っていた
その様子を侍女のアンナは目ざとく察してしまったのだろう
この日はみんなでかくれんぼをしていた
みんな散り散りに散開する
ニックと例の女の子は一緒に走っていた
ふたりは温室を出て林の向こうまで逃げていく
あまりにも遠くの場所まで来てしまったので、誰も探しに来なかった
ふたりは倒木に腰掛けて遠くの風景を眺めていた
「いつもみんなと居るんだね」
「そうよ、わたしたちは仲良しなの!スティーブ様もアリッサも、みんな仲良しだよ」
「みんなとは姉妹なの?」
「そう、わたしたちは姉妹」
「でもみんな顔は似てるのに、髪とかは違うんだね」
「そうなの!だってわたしたちはクローンじゃないもの!」
「ここは楽しい?」
「当然よ、ここがわたしたちの居場所ですもの」
「また来週も来ると思うんだけど、また遊ぼうね」
「わかったわ!今度はクッキーよりももっとたくさんのお菓子を用意しておくわ!アップルパイは好き?来週はアップルパイを用意しておくわね」
少女は倒木から飛び降りると、温室のほうへ歩いていった
ニックも慌てて追いかけていった……
ビーネンフォルクの少女たちには個別の名前が無かった
ひとりが全員で
全員でひとりだった
運命共同体のような少女たち
ニックが話しかけると、少女たちは騒ぎながらくっつき合っている
少女たち同士は腕を絡ませたり、少女たち同士で抱きついたり、とにかくスキンシップが多いように見える
その中で肌の色が濃い女の子だけはいつも笑いながらも一瞬だけ遠い場所を見ているようで、それがニックの目に止まったのだった
それからもその少女だけは個別認識してしまい、いつも目が追っていた
その様子を侍女のアンナは目ざとく察してしまったのだろう
この日はみんなでかくれんぼをしていた
みんな散り散りに散開する
ニックと例の女の子は一緒に走っていた
ふたりは温室を出て林の向こうまで逃げていく
あまりにも遠くの場所まで来てしまったので、誰も探しに来なかった
ふたりは倒木に腰掛けて遠くの風景を眺めていた
「いつもみんなと居るんだね」
「そうよ、わたしたちは仲良しなの!スティーブ様もアリッサも、みんな仲良しだよ」
「みんなとは姉妹なの?」
「そう、わたしたちは姉妹」
「でもみんな顔は似てるのに、髪とかは違うんだね」
「そうなの!だってわたしたちはクローンじゃないもの!」
「ここは楽しい?」
「当然よ、ここがわたしたちの居場所ですもの」
「また来週も来ると思うんだけど、また遊ぼうね」
「わかったわ!今度はクッキーよりももっとたくさんのお菓子を用意しておくわ!アップルパイは好き?来週はアップルパイを用意しておくわね」
少女は倒木から飛び降りると、温室のほうへ歩いていった
ニックも慌てて追いかけていった……