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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第25章 〜哀しみのニック〜

(7)

川沿いを猛スピードで飛行している3つの機体


2つはキュール・シュランクでも運用されている“フリーゲン”

そしてもう一つは新型機“シュターム”



3つの機体は機体の各所にイエローでペイントされている


実戦用ではなく、試作用の機体だ



運用機体とは異なり身体の各所にセンサー類をごちゃごちゃと身にまとっていたり、不相応な大きさのライフルを携帯している



“プロトタイプ・シュターム”



その試作機はショートカットの女性が乗り込んでいた



「どうしてテストパイロットの私が実戦に……!」


ターヤは納得のいかないまま出撃していた


ドイツ北部の港街ハノーバーの工場が正体不明のテロリストの襲撃を受けていた


関連する南方のハンブルグ研究所から応援部隊が編成されたのだがパイロット候補生たちは実戦経験が無さすぎて使い物にならなかった


おもに試作機のテストパイロットをしていたターヤまでもが駆り出される始末


ターヤは数年前、反地球連邦軍“カラバ”に参加していた経験もあるパイロットだった


ダブリンのコロニー落とし以降、弱体してしまったカラバは解散

エゥーゴを母体とした連邦軍に再編成されたが、ターヤはそこには加わらなかった


自分が政治家たちの道具になっているかのように感じてしまうと、命を賭けて戦うことが出来なくなってしまっていたのだ


“また戦いか……!”


ターヤは無念の思いで北へ上がっていった


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