浮遊空母~ぼくの冷たい翼~
第25章 〜哀しみのニック〜
(14)
翌週
イギリス
スティーブの義弟ニックはお目付け役の侍女アンナとふたりでスティーブ邸を訪れていた
今日は母の同伴では無かったためお抱えの運転手に乗せてもらってやってきた
兄への挨拶を済ませると二人は元気よく庭園を走り回った
そしていつものガラス温室へ入っていく
温室内は曲がりくねったレンガ敷きの小径があり、一番奥に人工の池とテラスがある
いつものように挨拶をするふたり
ファニチャーにはいつものように少女たちが座っていた
いつものようにはしゃがず、妙に落ち着いていた
それに
いつもより少女たちの人数が少ない
それに
アップルパイは並んでなかった
皆、一様に同じような表情をみせる不思議な少女たち
今日はニックが先週話しをした少女の姿はなかった
彼女たちが一体なんなのか、兄とどんな関係にあるのか
ニックにはよく理解出来ていなかったが
彼女たちはどこか危うい雰囲気を持っているように感じる
そして直感的に“あの少女はもうこの世界に居ないのかもしれない”と思った
なぜだかは、わからない
ただ、
そう感じた
ニックはそれがとても悲しかった
アンナはそんなニックを察して、ずっと手を握ってあげていた……
翌週
イギリス
スティーブの義弟ニックはお目付け役の侍女アンナとふたりでスティーブ邸を訪れていた
今日は母の同伴では無かったためお抱えの運転手に乗せてもらってやってきた
兄への挨拶を済ませると二人は元気よく庭園を走り回った
そしていつものガラス温室へ入っていく
温室内は曲がりくねったレンガ敷きの小径があり、一番奥に人工の池とテラスがある
いつものように挨拶をするふたり
ファニチャーにはいつものように少女たちが座っていた
いつものようにはしゃがず、妙に落ち着いていた
それに
いつもより少女たちの人数が少ない
それに
アップルパイは並んでなかった
皆、一様に同じような表情をみせる不思議な少女たち
今日はニックが先週話しをした少女の姿はなかった
彼女たちが一体なんなのか、兄とどんな関係にあるのか
ニックにはよく理解出来ていなかったが
彼女たちはどこか危うい雰囲気を持っているように感じる
そして直感的に“あの少女はもうこの世界に居ないのかもしれない”と思った
なぜだかは、わからない
ただ、
そう感じた
ニックはそれがとても悲しかった
アンナはそんなニックを察して、ずっと手を握ってあげていた……