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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第26章 〜電子戦争〜

(7)

それから数日後


シンシアとナオトは部屋の中でまったりと過ごしていた


まだまだ本調子ではないナオトと、



じっくり休養をとり、精神的な緊張をほぐしていくシンシア


そんなとき、買い物に出ていたアンジェラが慌ただしく帰宅した



「…騒々しいな!何をそんなに騒いでるんだ?」


「シア!ちょ、ちょっと!」


「?」


アンジェラはシンシアを連れて部屋を出ていった


ナオトも続いて外へ出る



行き先はコンドミニアムの階下層


数日前に訪れたゲームセンターだ


「またこのゲームか!」


「そ、そうなんだけど、ちょっとこれ見てよ!」


アンジェラが大型筐体機「フリューゲル」のギャラリー向けモニターを指さす


デモ画面が終わり、ランキングが順番に表示されていくとシンシアの名前が2位に落ちている



「あれ?隊長のスコアが抜かれてる?」

「もう!ここでは“隊長”って呼ぶな!」


「それもあるんだけど……1位の名前が…」


「……名前?」




そこに表示されていた名前は



“キアラ・アレキサンダー”



シンシアの表情がこわばる…


ナオトもあ、と声を出す



インドネシアのカリマンタン島で出逢った子供“キアラ”



そしてシンシアはその少女の顔立ちが昔の記憶を呼びおこす


北米オーガスタ研究所に居た頃に出逢った天才少年“アレク”


シンシアはカリマンタン島で見かけた少女がアレクと何かしら関係があると考えていた


彼の子供か、その遺伝子を色濃く受け継いだ分身か…


忌むべき“エターナル計画”を想起させられる


“キアラ・アレキサンダー”

その名は偶然なのか、それとも…



ランキングはオンラインなので世界中のプレイヤーの集計のはずだ


例の子供がシンガポールに居るかどうかはわからない



それにこのキアラと言うプレイヤーが、例の子供かどうかも……


3人は休暇中にもかかわらず不穏な空気を感じざるを得なかった……



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