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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第26章 〜電子戦争〜

(13)


リゾートコンドミニアムの上層階


自分たちの部屋に戻った3人だが、夕飯のときの言葉数はみな少なかった



部屋に戻ってからシンシアはすぐに浮遊空母“キュール・シュランク”のハンズイ艦長に連絡をいれる



事のいきさつを簡単に報告したものの、

状況はあまり変わらなかった……



というのも浮遊空母の設備上、連邦軍アジア空軍“アクセプト”という組織の移動基地としてだけでなく、


要人たちを宇宙へ打ち上げるインフラとしても機能していた



人が行き交う交易性の高い大都市シンガポールでの配備はその側面が強い


ベトナムへの増援時もフリューゲルを放ったのみで、キュール・シュランクはシンガポールから離れられなかった



さらにシンガポールでは要人たちによる“世界会議”が控えており、今後も地球と宇宙をつなぐインフラとして今の場所を離れる予定も無いらしい



ナオトは電話が終わったシンシアに声をかける

なんなら休暇を繰り上げていつでも臨戦態勢を整えるつもりだ


しかし



「報告はありがたいが、キミたちはしっかり休養しろ、てさ……」



「そ、それで…、いいんですか……?」



シンシアはベッドに身を沈めながらため息をつく



「……今の我々では戻ったところで足手まといさ、4人とも心身ともにボロボロだからな」



シンシアも隊長としての無力感を感じるのだった……


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