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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第27章 インド編①シンガポール非公式会議

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「〈サイコフレーム〉?」


「強化人間で使われる〈サイコミュ・デバイス〉があるだろう? それをもっと単純に素材の中に封じ込めた新素材さ、ガンダリウム合金の次世代の素材になるかもしれない

それが連邦への手土産って、もっぱらの噂だよ」


「サイコミュなんて大型ゴミみたいなものだろ?運用も簡単なものじゃないし、生産性が悪すぎるんじゃないか?」


「だろ? だから〈サイコフレーム〉なんだよ、小型化、軽量化、なんなら強化人間でなくても反応速度は上がるらしい


連邦でなくても手に入れたくなるさ」


「それはどこからの情報なんだ? 連邦か?」



「違うよ、〈月〉だよ、アナハイム・エレクトロニクスさ


あそこの会社も一枚岩じゃない、グラナダとフォン・ブラウンは対立しているからな

俺の所はオーガスタだろ? 連邦とアナハイムが交じりやすいんだよ」



「オーガスタといえば、例の話も今回の会議に出る出ないと噂だが…」



「ああ、“E計画”だろ、あんなの噂話しもいいところだ、キンバリー女史は行方不明

被験者も謎の失踪続き、誰も詮索しない

それに……“強化人間”と違って“E計画”はとにかく時間がかかり過ぎるんだ

キンバリー女史が居ても、きっと途中で頓挫してるだろうよ」



「いや、もしその生き残りが居て……、その〈サイコフレーム〉とやらの反応速度とクロスオーバーさせたら……とんでもないことになるんじゃないのか……?」



「さすがだな……、実は〈サイコフレーム〉はすでに試作品ではなく、実戦運用されようとしているんだ……、

おおっと、スマン!聞かなかったことにしてくれ! 俺の首が飛んじまう」


「わかってるよ、今は色んな研究所が暗躍している時代だ……、どこで何が行われていようが驚きはせんよ」



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