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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第27章 インド編①シンガポール非公式会議

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「…そうですね、無謀とも言える旧型でのデモンストレーション

いくらカスタムされたとは言え、局面的な展開作戦があるような本格的な戦争ではありませんので


単純に兵器同士の能力だったり、パイロットたちのスキルがキモになってくるわけですが、


正直いってこのデモンストレーションが効果的かと言われれば、疑問ですよね…


この部隊の支援をしている何処かしらの工場、メーカーが自分たちの宣伝をしたいのなら、より優位性の高い現行機〈クラング・ハイノート〉で推し進めると思うんですよ


それをあえて旧型機での支援というのは解せません


逆に考えると彼らの部隊は何かしらのプレッシャーを与えられているんじゃないですかね?」



アナウンサーがつなぐ



「……と、言うと?」



「彼らジャブローの残存部隊も〈背水の陣〉なのでは無いか?と思わざるを得ないんですよ

これ、ほとんど特攻みたいなもんですからね


ごらんなさい、連邦空軍のパイロットもそれがわかっているんですね

蹴散らすだけで、深追いはしていません

〈もう、やめておけ〉と言いたいのでしょう」



「……なるほど、ハリスさんありがとうございます

では元アナハイム・エレクトロニクスの開発部門にいらっしゃったディアノさんはどう見られますか?」



「はい、私もハリスさんの意見と同じく、彼らは追い詰められている状況にあると思います

ジャブロー基地の廃棄によって連邦軍からの支援は途絶え、また開発を行っていた下請けのウエリントン社も手を引いているでしょう

買収されたハービック社は今となっては月面に移行しましたからね

彼らの後ろ盾は小規模のメーカーではないでしょうか? それが何らかの要因により規模を縮小されたか、また打ち切られようとしているように思えますね


ここで勝ち星を上げて点数稼ぎをしたいのでしょうが、相手が悪い

連邦空軍は最新の試験運用をしている実戦部隊です

パイロットも熟練された者から、適正の高い若いパイロットまで層は厚い

早めの撤退を提言したいですね」

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