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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第27章 インド編①シンガポール非公式会議

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ニューホンコンより南下した中国領先南端の島、海南島よりさらに南


小さな島々が連なるホアンサ諸島の洋上



移動基地“グール”の巨大な格納庫でアモット兄弟とその他クルーたちはこじんまりした飲み会を行っていた…



テーブルの上には酒やつまみ、そして衛星回線で繋がれた小さなテレビ



「シンガポールは楽しそうだなぁ…」


「オレたちの機体ならもっとキュールシュランクの連中を楽しませてやれるのになぁ!」


「そうっすよ、アモット兄弟の〈サイスクロー〉を見せつけるチャンスなんスけどねぇ〜」


若いメカニックが退屈そうにつぶやく


「姐サンにその気が無ェからなぁ、仕方ねぇよ」


「姐サンはずっと上かね?」


「ああ、あれから小僧とセックス三昧だ!

ワハハハハ! どっちが夢中になってんだかわかりゃしねぇなぁ!」


「小僧は絶倫にされた強化人間らしいぜ!」


「ホンモノのセックスマシーンだ!ワハハハハ」


「でもよぉ、シンガポールにも興味無いならムラサメに戻ったらいいじゃねぇか?」


「何言ってんスか! 研究所のほうもテレビやらマスコミだらけですよ!

それに我が家には格納庫に入らねえデッカいゴミを吊るしてますからねぇ〜


こんなのスクープされた日にゃあ、格好のカモですぜ?」



巨大なゴミと呼ばれた“サイコ・クラング”


通常のフリューゲル機体の2倍以上の大きさのため“グール”の格納庫に入るはずもなく、鹵獲されたままの状態で“グール”から吊るされて飛行していた


もちろん迷彩の巨大なカバーは掛けられているものの、異様な光景でもある



“グール”もシンガポール会議が終わるまでドックに戻れない状況のようだ…


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