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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第27章 インド編①シンガポール非公式会議

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バシュッッ!

バシュッッ!



赤い“シュターム”は何度もスラスターを噴く


瞬発力が特徴の機体だけに、戦況への反応は素晴らしかった


だがパイロットの集中力は凄まじく消費されていく……



赤い“シュターム”のパイロット、ソニアは機敏な動きを維持しているが、余裕だったのは最初だけで今となっては必死の形相で敵機に食らいついている


敵のさみだれ撃ちを交わし、


待ち伏せにも屈せず、


凄まじいスピードで敵を翻弄していく…



味方機から何度かのシグナルが発せられているが、気に留めている余裕がソニアにはなかった…


それを統括している第2部隊の隊長ラルフは苛立ちを隠せない



「あんにゃろ!キャパオーバーだっつーの!

バテバテじゃねぇか、こりゃ次の休憩は長めにしてやらんと潰れちまうな…」


2機はコンビネーションを組んで敵を陽動し、

……殲滅した




敵の部隊はローカルな小さな小隊ばかりだ


旧型の〈クラング〉、経験不足のパイロット、世界中の各地域で発生する小規模の戦闘でしか実戦をしていないような、言うなれば“田舎者たち”にすぎない


正式な連邦の空軍〈EFAF〉相手では分が悪いだろう


最新の機体、パイロットの層、十分な補給経路


巨大な象とアリの戦いのようなものだ


しかし、そこで名を売れば小さな部隊も大きな援助を得られるかもしれない


今回のシンガポールの舞台は格好のインプロビゼーションになっているようだった…


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