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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第28章 インド編②プラガーシュ 〜最初の灯り〜

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もしインドにコロニーが落とされた場合、周辺のアジア諸国も甚大な被害をもたらすことになる


ダブリンに落とされたコロニーは爆散しなかっただけ被害は小さなものだったが、オーストラリアに落とされたときは地球全体の人口が大幅に削減されてしまうほどの災害レベルだ


確かに地域紛争している場合ではない

ましてや“トランキュリティ”など企業連合の軍隊が幅を効かせていては連邦軍の兵力も分散させられかねないだろう


「……今のお話しはご内密に……、ですが月面からの情報を持っている筋なら、みな知らされている話しではあります

ただ、この“たら・れば”の予測だけでは協力を仰げないでしょう?
 そこでカタチとなる物が必要か、と…」



「それが〈サイコ・フレーム〉か……?」


「……先ほどの戦闘で見ていただいた兵器、あれはそのほんの一端……、試作品です」



ラルフはあの長い棒状の不思議な兵器を思い出す


「従来のサイコミュ・システムよりも極限なまで小型化が可能だと月の技術陣は考えているようです」


ハンズイ隊長は気になる質問をする

「……アニーカ・カリード、あなたは“強化人間”なのですか?」



長い沈黙が部屋を支配する


ラルフはふとテーブルの上に置かれたアニーカ・カリードの指が、小刻みに震えているのが目についた



「……これは……、わたしに限ったことではありませんが……

 インドの古い慣習が残る地域では、今も“身分制度”が色濃く日常に影響しています…

 私たち3名も……家族を殺され、レイプ、人身売買の被害者です


行き着いた先が研究所だったのは、私たちにとって“生きるための選択”だったのです……!」



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