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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第29章 インド編③アニーカ・カリード 〜闇と孤独〜

(5)

翌朝、アニーカ・カリードたち3人は熱めのシャワーを浴びていた

ちょうどそこへソニアとタオがやってきた


「おはよう、アニーカ、ノマ、ファラ!
 よく眠れた?」


「おはようございますソニア・ミラー!
 ベッドで眠れたのは久しぶりで……助かりました、ただ……明け方寒くて!」

ソニアたちは空いているシャワースペースへ入って自分たちも熱いお湯を浴びた

「ハハハ!それこそ〈キュール・シュランク〉の洗礼だよ、あまりに上空に位置しているから〈冷蔵庫〉の中より寒いんだそうだ!」

会話にタオも加わる

「ソニアはカナダ人だから寒さに慣れてるんでしょうけど、ベトナム人の私にはここの寒さは堪えるわ、アニーカさんもインドは暑いんでしょう?」


「ええ、インドは暑いんですが、北部の山岳地帯はネパールと隣接しているので寒い地域も有るんですよ
 ああ、アナタは甲板で補給してくれていた方ですね」

アニーカ・カリードはシャワーから出て広いスペースで身体を拭きながらタオに視線を送った


タオはシャワーを浴びながらアニーカ・カリードのほうへ目を向ける

目をパッチリさせたインドの女性は可愛いらしい顔立ちとは裏腹に、身体はキズだらけだ

それが軍隊の過酷なものでは無く、過去の虐待か拷問の跡のように思えるほど酷いものだった…


ソニアがゆうべ語っていた、私では生きていられなかったかも、と言うのはこの事か…

確かに哀しい世界からやってきたのだろう

「アニーカ・カリード!ここを守ってくれたお礼に朝食を一緒にどう?」

アニーカは笑いながら頷いた


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