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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第29章 インド編③アニーカ・カリード 〜闇と孤独〜

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アニーカ・カリードが思春期を過ぎた頃、通っていた学校を突然退学させられた


両親が退学させたのだ


母親からは家庭の作法を叩き込まれた


そしてある日、見ず知らずの人の家に訪れさせられて、見ず知らずの男の妻となった…


自分よりも歳の離れた男は夜になると家に戻り、アニーカが作った食事をとり、夜になると強引に抱かれる毎日だった


普段は家から出ることもなく、見ず知らずの男の年老いた両親と過ごすことになった


義両親の奴隷になったような気分だった


やがて子供が出来、家族の暮らしらしくそれなりの平和な時間が流れた


その時間は突然終わりを告げた


同じ家で暮らす義父からのレイプ


何度も拒んだが義父は聞く耳を持たない


何度も暴力的なセックスを強要させられ、たまらず勇気を振り絞って義母に相談した


すると義母は庇うどころか、お前が誘惑したのだとばかりアニーカを責めた


それは夫の耳にも入り、アニーカ・カリードは家から追い出されてしまった


幼い子供との別れ


そして暮らしていく家も、すべてを失った


路上は恐ろしくて眠れなかったので、人里離れた場所でコッソリと生きていくしかなかった


ときには空腹に背に腹は代えられず、見ず知らずの男に抱かれるときもあった


それでも暴力を受けるよりは良かった


日雇いの仕事を求めて街を転々とした


女に出来る仕事は限られていたが、生きていくためには何でもした


ある日軍隊の保養所で売春婦のような仕事をしていたとき優しい兵士と知り合った


彼は兵士と言っても後方支援の部隊で血気盛んなタイプではなかった


その彼の推薦で秘密実験の被検体として応募することになり、今の自分が居た…


夢から覚めたアニーカ・カリードはベッドの上ですすり泣く


若いノマとファラには聞かせたくなかったが、嗚咽は堰を切ったように溢れ出てしまうのだった……


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