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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

(5)

混乱の首府、スリナガル


空港にはたくさんの市民に溢れ、その周りを兵士たちが警戒している


ドォォォォン!

ドォォォォン!


爆発音は近い


そのたびに市民からの叫び声、怒号が聞こえる


旅客機、小型艇、セスナ

飛行機たちは次々と空へ飛び立ち、残された飛行機にもたくさんの人々が群がっていた


混乱の中、先に飛び立った航空機が空中にて大爆発した!


悲鳴!


閃光!


熱風!


衝撃!


見上げると空には〈ムフト軍〉の航空機動兵器〈ファトワー〉が何機も待ち構え、次々と撃墜していく


警護のモビルスーツたちも空からの攻撃に立ち向かえず、標的になるばかりだ


連邦陸軍E.F.G.F.は民間人を守りながら遮蔽物に身を隠さざるを得ない


強襲する〈ムフト軍〉は圧倒的な優位で首府スリナガルは陥落寸前だ


ナフト軍の量産機〈ファトワー〉だけでなくチームリーダーと思わしき隊長機〈ヴァーリシュ〉も稼働させ、本格的な攻略戦


前線のムフト中隊、大隊はその都度編成され見動きとれない護衛の連邦軍は成すすべもなかった…


滑走路には多くの民間人が残っていたが、爆撃でみな倒れ込んでいる


うめき声、動かぬ腕

滑走路は人間の絨毯が出来ていく


まだ小さな子供アキラ・ホンジョウは動かぬ母親ミサコの肩を担いで少しでもここから離れようと賢明に動いた

まだ幼いアキラの身体では華奢な母親の身体でも支えきれない

地面に転がる男たちの眼は見開かれたまま動かない


顔の半分に金属片が刺さったまま、まだ生きている者もいる


幼い子供のアキラだったが、泣いていても誰も助けに来ないとわかると無言で母親を引きずることしか出来なかった


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