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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

(6)

アキラは数日前に母親ミサコとともにニューデリーからスリナガルへ避暑観光についたばかりだった


父親は商社マンだが連邦政府と取り引きの仕事をしており、後から合流して避暑地で家族の夏休みを過ごす予定だった


観光地のスリナガルの人々はみな明るく、特に差別意識の低いアジア人に対しては気軽に声を掛けてくれるぐらいフレンドリーだ


母親のミサコもそういった人々に溶け込めるよう現地の人々と似たような格好をして、身体のラインを出さないよう気を配ってみると、そんなに治安が悪いようにも感じず楽しい観光を楽しんでいた


アジアの母子は毎日ホテルから出かけ、街の風景を楽しんでいた


数日前までは



ムフト軍の強襲を受けたスリナガルは小競り合い程度のテロ行為ではなく、完全に領土紛争であろう


アキラ、ミサコたちはスリナガル攻略戦に巻き込まれてしまっていた…


ムフト兵は空港の防衛戦を超えてなだれこんてくる


連邦陸軍の戦車はすでに燃やされ、モビルスーツは空爆により沈黙していた


残された連邦兵は散り散りに展開し、指揮系統は壊滅していた


アキラは母をかついだもののすぐに力尽きた

標的になるのを避けるため動かないほうがいいのか、

それとも一刻も早くこの場から遠ざかるべきなのか


頭がパニックした少年は、空を見上げた


そこに何かがあるんけでもない


ただ


それしか出来なかった…


その空に


何かが迫ってくる


〈ファトワー〉でも〈ヴァーリシュ〉でもない


グリーンの機体が3つ

それに続くグレーの機体の編隊



突然、空が割れるような音が響く!



バリバリバリバリッッッ!!


〈プラガーシュ〉と〈フリーゲン〉の混成部隊がスリナガルに到着した






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