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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

(7)

グリーンの機体〈プラガーシュ〉は何本もの杖を天空に放り投げた


スティッキー


それらは意思のあるような動きを見せて、その後一斉に周囲のナフト軍へ向かっていく


閃光!


一瞬のうちに周囲の〈ファトワー〉が殲滅された



グレーの機体、〈フリーゲン〉の一機がアキラたちに近付く


「そこの少年、動けますか? 建物の向こうの輸送機まで走れますか?」


外部スピーカーを通して女性の声が響く


輸送機まで走れれば救助されるのだろう



だが、息のアガったアキラは声も出ず、ホバリングしている〈フリーゲン〉に何もリアクション出来ず、ただ立ち尽くすだけだった


「……仕方ないなぁ、グズグズしてたら増援が来ちゃうぞ!」


ホバリングしていた〈フリーゲン〉はその下半身の航空機のブースター部分を変形させた!


翼がグルンと背後にまわり、ブースター部分が2つに分かれる


2本のブースターがまるで簡易的な脚のような形状になり、アキラの近くに着陸したのだった


フリーゲンF4


市街戦を想定した追加ブースターを装着した新兵器だ


ハッチを開き、そこから出てきた女性パイロットはソニア・ミラー


ソニアはアキラに手を貸し、母親の身体を担いでハッチの昇降ウィンチで引っ張り上げる


2人をコックピットに載せたソニアは再びシートに座り込む


「狭いけど後ろ側に座っていてね、揺れるから」


フリーゲンF4はゆっくり起き上がり、ホバリングしていく


宙に浮いて高度を少しとってからタイミングをみて変形し、航空機スタイルに戻る


空に大編隊を知らせる警告音!


「急ぎましょう」


フリーゲン数機と合流して輸送機、航空機を護衛して母艦キュール・シュランクの待つカシミール渓谷へ向かうのだった…


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