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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

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キュール・シュランクの後部格納庫は難民でごった返していた


救助派遣したミデア・ノイだけでなく、あの場を慌てて離陸したものの、満足な給油を行えていなかった輸送船、旅客機も収容させている


大型機は甲板に固定させ、格納庫内は難民キャンプのようにシート、テントを張り巡らせる


タオたちメカニックマンや、アニーカ・カリードたち3人のパイロットたちまで総動員させて治療班を編成させる

クルーの空きベッドも難民を入れていく

贅沢に四人部屋をひとりで使っていたソニアも重症人に部屋を譲っていた


「ノマ、ごめんね、荷物を置かせてもらうだけでいいからさ」


「いえいえ、私達こそ部屋をお借りさせて頂いてる立場なので申し訳ないぐらいで…

 そういえばソニアが救助した親子は?」


「ああ、母親が重症で薬で眠ってる、子供は付ききっきりなんだよね…」


「まだ小さいから不安でしょうね、私は当分作業になりますから、良かったらソニアさんその子と休んで下さい」


「……そうしようかな……、とりあえずちょっと今のうち抜けますね」


ソニアが自分の元の部屋に行くと4人ベッドは埋まり、スタッフが点滴交換をしていた

そばに少年も付いている


ソニアはスタッフに声をかける


「次の交換まで抜けてもいい?」

「替えたばかりだから大丈夫、眠って下さい
 できれば、この子も…」

「うん、そのつもりで来たんだ」


ソニアは少年に声をかけた

「私はソニア・ミラー、アナタはカシミールの人ではなさそうね、中国人?」


アキラは声であの時のパイロットの人だと気付いた


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