テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第30章 インド編④カシミール戦役

(19)

ダミー風船を使った待ち伏せトラップにハメられたグラームがカシミール渓谷の谷底から上がってきた


荒れ地の岩肌スレスレに滑空していく


部隊はトラップに引っ掛かり数が半減したものの戦力としては十分機能している


渓谷の上を任せていたマクブールの部隊と合流すればまだまだ追い込みを掛けられるだろう


すでに朝日は昇り、谷の遠くまで見通しが良くなっている


谷底と違い遮蔽物が無いため陽射しが強い

ディスプレイは調整されているものの、それでも黒く塗りつぶされている


光と影のコントラスト


中近東からアジアにかけて荒れ果てた大地の姿


モニターには何も見えないまま、警告音が鳴り響く


グラームは判断出来ず部隊を一旦急上昇させた



しかし、その急上昇させた上空に巨大な浮遊物体



島のように巨大な人工物



連邦空軍の実験部隊旗艦〈キュール・シュランク〉が降下してきたのだ!


「ば、バケモノかッ!!!」


巨大な人工物は都市を思わせるほど巨大で、ロータリーがいくつも廻り、見るものを圧倒させた


開発途中のミノフスキークラフトの力を持ってしても浮かびきれず、ロータリーファンが補助的にその巨体を空に浮かべさせていた


ビーー!ビーー!

さらに新たな警告音!


振り返るグラームの視線の先

別の方向から巨大な輸送船が数機見える!


〈ガルダ級輸送船〉!

さらに随伴するひと回り小さい〈フェニックス級〉の姿も…

それは数機確認できる


連邦空軍の大部隊がカシミール渓谷に集結した!


艦長ハンセンはこの機会を狙っていたのだ


船団から射出されたのはフリューゲル機だけでなくフライングジャバーに乗ったモビルスーツの大軍団!

あっという間に目の前の空が連邦空軍に埋め尽くされる!


グラームたちは挽回する機会も無く、帰投するしか無かった……


ストーリーメニュー

TOPTOPへ