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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第31章 インド編⑤終幕

(7)

ソニア・ミラーが空虚感に包まれていたところで戦場は相変わらず突発的に起こっているし、名も知らぬ兵士の命は失われていく……


彼女が知らぬ場所ではアブドゥラ解放軍から連邦空軍〈アクセプト〉への技術協力は始まっている


ドイツのハノーバー研究所からは何人ものスタッフが送り込まれ、その中にはシンガポールから戻ったばかりのゲルト教授の姿もあった



〈プロトタイプ・サイコフレーム〉


過去のサイコミュシステムのような増幅器をモビルスーツに搭載しようとするとどうしても巨体になってしまい人型を排したモビルアーマーに転換せざるを得ない


またパイロットも特殊な訓練や薬物投与など様々な問題を抱えてしまう


月面のグラナダからフォン・ブラウンに流れてきたまったく新しい技術は合金の素材そのものをナノレベルでサイコミュ反応を行い、既存のマシーンにも運用が容易だ


特にコックピット周りに新合金を配置することにより明確に反応速度が向上する


カシミール地方のスリナガルの街を奪還協力することにより、連邦にサイコフレームの技術が流出したのだった


ビルマから合流した研究員ユッタも下艦してゲルト教授と久しぶりに再会した


「ゲルト教授、この新素材なら大型デバイスも不要ですし、生産もうちの研究所で出来るんじゃないんですか?」


「上層部はそんなに時間を与えてくれないよ、ユッタ!実は近々サイド1あたりで軍事紛争が起こりそうなんだ、上層部はそこの鎮圧にこの新素材を早急に使用したいそうなんだよ」


「え!そんなこと言われても普通開発には何年もかかるものですよ!そりゃあ生産ラインが乗れば新兵器も早く出来るでしょうけど、未知の素材ですよ?」


「だから、困ってるんだよ」


彼らに研究している時間は無かった…

サイド1、スィートウォーターでは民衆の不満が爆発寸前だったのだ…


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