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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第6章 ~演習~

翌日の早朝

シンシア曹長とヤン軍曹はインドネシアの離れ小島にいた

ふたりともアロハシャツを着込んで観光客を装っている

金髪を後ろに結った姿はいかにも外国人という風貌のシンシアと

中国系のヤンでは妙なカップルに見える

いや…リゾート地で他人を気にする観光客なぞ居ないだろう
みな自分が楽しむために来ているのだ


「暑いな…」

サングラス越しでも目に飛び込んでくる日差しの強さには辟易する

「空は冷蔵庫だし、地上はフライパンですな」

ヤンの言う通り浮遊空母は常に高度を保っているため冷蔵庫なみの寒さのなか生活している

“キュールシュランク”=<冷蔵庫>なんてあだ名は冗談になっていなかった

普段、クールビューティーの鎧を着込んでいるシンシアや無表情なヤンでもこの南の島の暑さに嫌気をさしていた

「雑誌の<マンゴーパフェ>見つかりますかね?」

「現地でリサーチするしか無いだろうな…」

<マンゴーパフェ>の捜索は自動制御されて滑空を繰り返したなら航続距離は長い

長ければ長いほどどこかの部隊に発見されやすいハズだ

近隣には3ヶ所の連邦軍基地があるが無線傍受してもそれらしいものは無かった

シンシアがこの小さな島の駐留基地を選んだのは潜入しやすいこともあったが少し土地勘があった

“隠すなら…ここだろう!”


まずは二手に分かれヤンは休日の兵士が戯れる盛り場へ

シンシアは軍の病院に向かった


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