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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

(4)

シンシアは上機嫌だった

「あの人の顔、見た?」

「驚いてたね」

「きっと子供ふたりが結婚なんて信じられないって顔だったわ!なんだか楽しくって!」


「キミも学生みたいな高い声をわざと出したじゃないか」


シンシアはペロっと舌を出した


「何だか新鮮だわ!外から見てても結婚してるかどうかなんてわからないはずなのに、なぜか舞い上がっちゃう」


「ボクも舞い上がってるよ、次はどっち?」


「ザーンはサイド1のエリアなんだけど古い歴史のあるコロニーが多いのよ、観光客も多いしね
 シャングリラやルーシなんかもあるけど治安が良くないのよね」

「じゃあ、ロンデニオンだね!それでさっきからイギリス系の人たちが多かったのか
 確かイギリスからの移民が多いコロニーだったよね」


「そう、ロンデニオンはかなり初期のコロニーなんだけど治安は悪くないし景色も良いのよ
 連邦軍の駐留コロニーでもあるから!
 ハンセン艦長の推薦状も役に立ったわ」


「除隊するのはボクだけで良かったのに、艦長はキミを手放したくなかったろうな……」

シンシアはふくれっ面をした


「なぁに?新婚早々別居したかったの!?」


「そうじゃなくて、体調が戻らないのはボクだけじゃないか!アンジェラさんもマリコも復帰したって言うのにさ」


「アナタとは離れないわ」

「うん、わかってるよ、ボクもさ」

2人は広いエントランスで他の旅行客が居るにも関わらず熱いキスをした


その後ろをさきほどの初老の男性が通りかかる

「結婚してるってのは本当らしいな」

やれやれと言ったふうで彼らを追い抜いたのだった…






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