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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

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エリーの家は木造の小さな家だった

結婚して親の代の牧場を切り盛りしている

ホテルに隣接しているので観光客へのレンタルが多いが地球の移民たちもよく通って馬に乗ってくれる


馬の排泄物は業者が定期的に引き取りにきてくれる

餌のワラやリンゴなどの手配もしてくれてお互い共存する関係だ


ロンデニオンのコロニーに隣接する小型の施設がプラント工場となっているため肥料は喜ばれた


夫は数年前に交通事故で失くしてしまった


今は親の代から手作ってくれているスタッフたちと家族同様の付き合いで、なんとか牧場を経営している


ホテル側からしても「乗馬が出来るホテル」として他のホテルと差別化でき、牧場への待遇は良かった


週末には馬のレッスンに通う子どもたちがやってきて、毎日の生活はにぎやかなものだ


シンシアは子供の頃、ここで数ヶ月暮らしていた


エリーとシンシアの母親同士が学生時代からの親友で、その娘たちである二人も仲が良かった


何年かに一度、手紙のやりとりなどはしていたそうだが、〈エターナル計画〉のことや〈実験部隊〉に所属していたときはやりとりが止まっていた


今回、シンガポールのコンドミニアムから数年ぶりの手紙を送って、再会を約束していたのだった


手紙ではなく実際に面と向かって再会したのは子供の頃以来だ


ナオトはコロニーで暮らす人もこんなにも日焼けしてるんだな、と不思議に思っていた

そのことをエリーに話すと、笑っていた

「ここは解放コロニーだからね、それにほとんど外に居てるからそりゃ肌も焼けるさ!
 この子も子供の頃は真っ赤っかだったんだから!」

シンシアも笑っていた…

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