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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

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翌朝、エリーの家で朝食をとり、ナオトとシンシアは街へ出掛けることになった


エリーは「どうせひとりで住んでるんだからここに戻っておいでよ、ホテルなんかに泊まったら承知しないよ!」と歓迎してくれている


「うん、しばらく厄介になると思うよ
 何ならナオトを馬に乗せてやって!」

「私はスパルタだよ」

ナオトは苦笑いするしかなかった


ナオトがトイレに行っているあいだエリーが小声で話し掛ける


「旅でお疲れでも夜は仲良しだね、声が聞こえてきたよ、独り身にはツラい声がね」

とエリーは笑いながら嫌味を言った


「ゴメン……、ナオトはシャトルで寝てばかりだったから眠れなかったみたい」


「いいさ、仲が良いのはいいことよ!
 今日はどこへ?」

「街へ出て、連邦軍の駐留基地に行ってみる
 元上司の推薦状があるんだ」

「え?…辞めたんじゃないのかい?」


「事故に遭ってからナオトの体調があまり良くないんだ、それで地球よりも無重力のほうが負担が少ないと思って…」


「……また戦争に行くのかい?せっかくいい人見つけたって言うのにさ」


「待ってる人たちが居てるからね」


「軍人さんは辞めても軍人なんだね、ここいらも怪しい雰囲気だよ
 またジオンの亡霊がうろついてる」


「やっぱりそうか、来るときにジオンらしき戦艦を見たんだ、連邦軍の本拠地にまでやってくるとは大胆だな!」


「ここだけじゃないよ、スウィートウォーターのコロニーには難民が集められてたんだけど不満が爆発しそうでね、連邦軍への反対勢力が息巻いてきたよ」


「ここも物騒になってきたんだね」


「ホテルの上客は連邦軍の高官が多いんだけど、ときおり密会を重ねている
 ジオンかどうかまではわからないけど、反対勢力なのは確かだね」



「連邦軍とジオンが取り引きをしているのかもね……」

「ここはまだマシさ、ルーシ・コロニーは反地球連邦軍の組織が巣食っちまってるよ」


「“エグム”とか言う組織は聞いたことがある」


「気をつけな、連邦施設に寄り付く人間は監視される、アンタも十分警戒しないとね」


シンシアは頷いた


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