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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

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シンシアとナオトは連邦軍の駐留基地に出向いた

推薦状を手渡して先日まで連邦空軍に所属していた事を説明する

データの照会は済んだが、元々浮遊空母である実験部隊〈キュール・シュランク〉は表立って公表されていないので時間がかかってしまった


それでもテレビの報道でシンガポールの防衛記録に映る〈キュール・シュランク〉の記録から何とか照会が確認された


目的は無重力下での訓練だったので、比較的カンタンに案内された


これが重要な任務だったらなかなか進展しなかっただろう


元連邦軍兵士がリハビリテーションをして戦線復帰することはよくあった


学生をいちから何年もかけて訓練する訓練校もあったが、紹介してもらったのは宇宙空間での教習所のような施設だ


ふたりは駐留基地を後にして、久しぶりのデートを楽しんだ


街でウィンドウショッピングをしたり、アトラクション施設に立ち寄ったりした


デートというのも目的だが、連邦軍の施設からまっすぐエリーの牧場に戻るのは危険だと捉えたからだ


シンシアは牧場に電話をかけて今夜は街に泊まると告げた


夜は遅くまで営業している映画館で時間を過ごす


深夜までやっているバーで軽い食事をとって、ふたりは街から少し離れたモーテルのような場所に宿をとった

「ナオト、疲れたかい?」


「うん、少しね……でも普段出来ない事をまとめてやったみたいだよ」


「そうだね、私も過去の時間を取り戻しているみたいな感覚になった」


「アルバートさんとの時間だろ?」


「言うな!」


ふたりは笑いながら大きなベッドに飛び込んだ


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