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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第7章 ~オーガスタ研究所~

アンジェラは幼少期、北米の親戚の家で暮らしていた

一年戦争でのジオン軍北米制圧で戦争孤児となったためだ

戦争孤児はたくさんいた

難民キャンプで暮らす子もいれば、施設で暮らす子もいた

アンジェラの義両親は連邦側に就く政府関係の高官だったが夫婦には子供がいなかった

親子にしては歳が離れていたが、そのぶん可愛がってくれたとアンジェラは思う


義父は勢力図が変わる北米地域においては有力者のひとりに変わりはなかった

政治家だけでなく一般市民も征服者に従わなければ生き延びれなかったからだ

政府は新しいご主人様に気に入られようと日ごと晩餐会を開いた

小さな小さなアンジェラも気に入られる道具として駆り出され、その作戦はうまくいっていた


初老の政府関係者と若いジオン軍の幹部たち

まだ小さかったアンジェラはその意味などわからず、ただただおどけてみせては老人たちの人気者となっていた


たびたびパーティーに駆り出されていたので義父の地位は悪くはなかっただろう

パーティーがうまくいくほど義父も義母も笑顔だった


一度だけ義両親がひどく緊張していた晩餐会があった

いつもは楽しく相手をしてくれる義両親だったが、この日は余裕がない様子だった


晩餐会の最中、義両親に連れられてある若い士官に挨拶をしに行った

幼いアンジェラからするとその若い士官は光り輝く王子様に見えた


「そんときはアタシも小さかったからねぇ…、あの人はザビ家のお坊っちゃんだったんだよ」

アンジェラは寝物語のようにベッドで話していた…

ヤンは半信半疑ながらも、身体を動かしたあとで睡魔と戦っていた

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