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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

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翌日からエピカ・ロンデニオン空間訓練校での授業がスタートした

座学が行われている教室には20名ほどの受講者が座っていた

最初は座学からと言われていたがどうやら実習を受けながら後から座学に参加する者も居るようだ


周りは退屈そうにダミ声の教官の話しを聞き流していたがアースノイドのナオトには興味深い話しばかりだ


朝から夕方までみっちり座学を受け、今日の講習は終わった


明日は座学とともに早速作業ポッドに乗り込む日程だ


教室を出ようとしたときに廊下でシモンズ教官と出くわした


「どうだ? 最初からビビって無いだろうな」


「いえ、なかなか興味深い授業でした」


「もう帰るのだろう? ちょっと寄っていかないか?」


「なんです?」


「明日のために整備しなきゃならんのだ、でも手が足らなくてな」


ふたりは格納庫で作業ポッドの整備を行った


小さなポッドなので構造はシンプルだし、メンテナンスも容易だ


「今でもコイツらは現役だ、コロニーの外で改修作業に出てる、ヘタなモビルスーツなんかよりよっぽど実用的だ」

「ジャンク屋でも使われてるんでしたっけ?」


「そう、シャングリラのコロニーでは街中がジャンク屋みたいなもんだ、過去の戦争の鉄クズが腐るほど浮いている

 でも彼らのおかげでコロニーの周りのデブリは減っているんだ、鉄クズは集められて工場ばかりのコロニーに送られて再利用されていく

 宇宙の資源は有限だからな

 最新鋭のモビルスーツも戦艦も、一部の装甲はこの作業ポッドが回収された獲物だったモノだ

 スクラップ屋のオヤジが言う通り、コイツを巧みに動かせれば食いっぱぐれはしない
 キミも仕事に困ったら彼に相談するといい」


「……ボクは……、戦場に戻るためにここへ来たんです!」


「そんなに人殺しがしたいのか、キミは?」


シモンズ教官とは意見が合いそうに無かった……


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