テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第33章 スペースコロニー

(18)

翌日の作業ポッドの実習は予定通り朝から始まった

初回講習なので基本的な搭乗や基本操作に終始していく



驚いたことにあれだけ残業して準備してきたにも関わらず講師はシモンズでは無かった


ダミ声の男性講師は岩石みたいなイカツイ男だったが、顔に似合わず冗談ばかりを言うフレンドリーな教官だった


しかし授業の内容は反復操作をひたすら繰り返しをさせる手堅いものだった


岩のような教官の軽快なトークとともに何度も何度も同じ手順を繰り返す


皆が慣れてきたら全員でタイムトライアルになる


いかに早く

いかに正確に

そして手際良く


何度も繰り返すことによって練度が高まっていく


基本的な動作は頭で考えるな!
己の指先のように自然に操作しろ!
宇宙空間で事故が起こったら照明も消え、
真っ暗闇の中、操作をすることになるんだぞ!
帰還できるか、出来ないか
今やってる操作で自分の命が決まるぞ!
99%の成功率では死ぬぞ!
100%にしろ!
すべての手順に5分かかってる奴!
酸素が3分だったら死んでるぞ!
お前を助けに誰かが救助に向かわせれば
ソイツが死ぬ確率が上がる事になるぞ!
お前のせいで誰かを犠牲にさせるな!
全員が完璧にこなせれば誰も死なない!
20人全員が100%で3分だ!
一人でも出来ない奴が居たら
この部隊20人全員が全滅だ!
宇宙では〈次〉は無いぞ!
今なら何度も出来る!
今しか無いぞ!
やるなら今だ!
今やれ!


教官の激が飛ぶ




前日にメンテナンスしていたおかげで特にマシーンの不具合いも起こらず、夕方までの実習は卒なく終わった


ストーリーメニュー

TOPTOPへ