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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第34章 25バンチの亡霊

(4)

倉庫ばかりの区画を離れて、新たにやって来た場所は本物の木に囲まれた〈森林エリア〉だ


何度か跳躍しただけでガラリと景色が変わるのは、さすが演習用コロニーだ


ここの場所は開放型シリンダーコロニーのガラス張りの外壁から、ちょうど光が挿し込むよう配置されている


針葉樹林ばかりで成長も早そうだ
いくつかは間伐されているのでSPF材として活用もされているのだろう

ナオトたちが乗り込む〈ジム・トレーナー・セカンド〉よりも背丈のある森だ

身を隠せる場所とあって、ようやく襲撃からの緊張から開放されそうだ


木が密集する位置にひざまずかせ、身を隠す
簡易的な木のテントのようだ


木と木にワイヤーセンサーを張り巡らせセンサーを強化しておく

モビルスーツによる〈ブッシュクラフト〉のような野営を張る


だが念の為コックピットからは出られない


襲撃に対して即座に行動とれるよう警戒は怠れない


ふたりはしばしの休憩をとっていた


休憩はとれるときに取っておいたほうがいい
戦闘状態が数日間連続する事だってあるのだから


しかし問題なのは〈食料〉と〈エネルギー〉の残量だ

事前にセッティングされていたはずの〈アイテム〉はことごとく消失していた


あの〈ムカデ型〉が回収しているとしか考えられない


ナオトたちもセンサーの計器類以外をエコモードにしてスリープさせておく


少しでもエネルギー消費量を蓄えておかなければならないほど切り詰めざるを得ない


そのためコックピット内の照明は落とし、エアコンも切り、まっ暗闇だ

そしてナオトたちを精神的に追い詰めるのがコックピット内の温度と湿度だった

コックピットは蒸し風呂状態で、特に上部シートに位置するシモンズには相当厳しい環境だろう


それでも休めるのは有り難かった……

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