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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第7章 ~オーガスタ研究所~

日本からやってきた研究者のひとりに村雨という青年がいた

向こうでの研究は極秘とされており、村雨も父親と同じ職に就くことが自然だったようだ

村雨は優秀な研究者であったがまだ若く何の地位もない

ある意味ちやほやされていた希少なテスト生たちの格好のおもちゃとなっていた

みんなが茶化す若い研究者だったがアンジェラはこっそり好意を持っていた

凜とした冷たい表情が、どこかあの王子様にイメージがオーバーラップする


「ああ、そうか…ヤン、アンタはどこか村雨に似てるよっ、その無表情な雰囲気とかさー、アメリカ人には無い雰囲気だよ…でもアンタは王子様ってガラじゃないね、アハハハハ」


ヤンは理解した
どうして派手なヤンキーガールの金髪美女が、押し黙ってほとんど喋りもしない自分なんかに興味を持たれたのか

「昔の男が似てるなら、ナオトはどうなんだ?彼のほうがニッポン人だぞ」

「うーん、ナオトはどちらかというとキュートじゃないかなぁ?アンタのようなクールな雰囲気は無いよ」

パッチリ二重のナオトだからか、ヤンは村雨がきっと自分のような一重瞼だったんだろうよ、と思った


「明日はそのボーイを探しに地上に行ってくるからな…もう眠るよ」

「そうだね、大丈夫…<マンゴーパフェ>は例の基地に必ず居てるよ」

「それはアンタの良く当たる勘ってヤツかい?」

「…」

一瞬、金髪美女は悲しそうな表情をした


なんだ…?自分から昔話を振っておいて、人から指摘されたらイヤなのか…?

ヤンはあまり軍の研究所というものに良い印象は無かった


きっとアンジェラが言う日本の研究所ってやつは、何年か前にニューホンコンを無差別に破壊したテロ行為に近い連邦軍の関係だろう

ヤンは故郷を汚された印象が強い

結果的にあの惨劇は日本の研究所が主体となっていて研究所は放棄されたのだから


しかし皮肉なものだ

ヤンが今所属するこの部隊もどこかしらの実験部隊だ

憎むべき不快な奴らの中にいてる自分もその一部なのだ

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