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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第34章 25バンチの亡霊

(9)

「クソッ!何なんだアイツはッ!?」


ジム・トレーナー・セカンドは背中のスラスターを噴かせ、コロニーの外壁に取り付けられたタンクに隠れる


宇宙空間に出てすぐに襲撃された!


相手は自動制御のマシーンで、蛇のように長い身体をくねらせながら宇宙空間を自在に泳いできた


「連邦の新兵器か、反連邦組織が送り込んだお土産か、どちらにせよまともに交戦は出来ん!
 回避しろ!」

「やってます、……けど!」


「ええい、じれったいな!コントロールをこちらにまわせ!私が操縦する!」


上部シート側にシステムが移行すると、それまでのナオトの動きとは異なり素早く手足を動かし、慣性の動きを活かしながら無駄無く背後に後退する


ブロックやタンク、また外壁に沿った巨大なパイプを伝って移動していく


ナオトは周囲を警戒しながら、シモンズの操作する動きとタイミングを覚えていった


関節の動きひとつひとつが次の慣性に繋がっていく

無駄なスラスターは噴かない

さすがは空間訓練の教官だ


「あるところまで離れると追ってこなくなるな、やっぱりアイツは連邦の自動護衛システムの一部のようだ……、きっと倉庫での〈ムカデ型〉も同じ関連のものなんだろう、異物の侵入を排除していくのが目的なら離れれば危険は無い」


「訓練コロニーに護衛なんて要りますかね?」


「さぁな? 護衛コロニーに何かを隠したか、だな? 連邦軍だけじゃない、アナハイムの作った過去の試作機たちが行き場も無く、ここに捨てられていってるのかもしれない」



動力パイプを伝ってコロニーの端、ドッキングベイまで移動していく


途中何度か〈海ヘビ〉に出会うが交戦せず、とにかく早急に彼らの縄張りから出ていけば大きな問題にはならなかった


訓練コロニー25バンチはコロニー公社からも連邦軍からだけでなく、軍事メーカーの廃棄処分場の様相のように思えた


ここは“墓場”だ……


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