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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(6)

実験部隊〈マグリッド軍〉

巨大な岩石をくり抜いた空中要塞

ミノフスキー・クラフトを転用させた移動基地だ

不思議な絵で有名なフランスの画家ルネ・マグリッドが描いたシュール・レアリスムの絵画を思わせるため命名された移動基地


反地球連邦を掲げる企業連合〈トランキュリティ軍〉直属の実験部隊である


腐敗した連邦主体の政治は民間の企業から不満が増大し、〈トランキュリティ軍〉を支援する民間企業はいくつも有った


彼らは経営をおびやかす地球連邦政府に一矢むくいるべく、世界中に点在する軍隊の総称でもあった


主となるのは兵器企業であり〈アモルフィス社〉が各部隊に兵器を供給していた


〈マグリッド軍〉はその中でも試作機の運用実験をおもにおこなっており、たびたび連邦空軍側の浮遊空母〈キュール・シュランク〉部隊と交戦していた


そして今、増強した連邦政府直轄の秘密警察〈マンハンター〉の組織を制圧すべくネパールへやってきたのだった…


フリューゲル遊撃部隊の隊長アレクは今回も新型機の試運転も兼ねてネパールの山岳地帯を飛行しているところへ、民間人を襲っているカスタム仕様の〈ジェガン〉に遭遇したのだった



「丸腰の民間人に向かってモビルスーツで襲いかかるなんてッ! 連邦政府はどこまで腐ってやがるんだッ!?」


アレクのディスプレイには自動的に動く標的にフォーカスしたサブウィンドウが2つ開いている


ひとつは真っ黒のモビルスーツ〈ジェガン〉


もうひとつは逃げるジープ

ジープには半裸の若い女性たちが乗っているところがアップに映し出されている


無抵抗の民間人に対人ガトリングガンを連射している


「モビルスーツと言ったって、対人兵器に特化した正規軍の払い下げだ、弱者に対してだけ威張り散らしてる姿は捨ておけんな」


アレクはまっすぐ機体を向けて疾走していった!


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