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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(7)

新型フリューゲル〈グライテン〉

真っ白の機体に要所要所に金色の装甲がアクセントになっている

兵器というには美しい


機体全体はズッシリ構えた巨漢な印象でずんぐりと丸っぽいフォルムの重装タイプだ


上半身は人型

下半身は巨大なブースターを持ち、脚の代わりに4本の大型プロペラントタンクが伸びてホバリング浮遊させている


まるで水上ホバークラフトの天井からモビルスーツの上半身が突き出ているかのような異様なフォルム


ゴーグルフェイスが多いフリューゲルシリーズだが、珍しくモノアイ仕様になっている


〈グライテン〉は荒れた山岳地帯の斜面を滑り降りるように滑空していった


黒い〈ジェガン〉が気付いたときには既に勝敗は決まっていた


対人用のガトリングガンしか装備していないマンハンターカスタムのジェガンはマシーン同士の戦闘には不向きだった


〈グライテン〉のビームライフル一射で〈ジェガン〉は沈黙した


おそらくビームコーティングも施されていないのだろう

貧相な装備で〈人狩り〉を行っている本当に下品な連中だ


〈ジェガン〉は爆発こそしなかったがパイロットも腰下にある銃座の射撃者も、機体を放り出して逃げ出してしまっていた


〈グライテン〉は〈ジェガン〉に近づき開きっばなしの無人のコックピット目掛けてビームライフルを放ち炎を上げさせる


エンジンを爆発させると核爆発が起こってしまうので再利用出来ないよう処理する


そこへ先程のジープが〈グライテン〉に駆け寄ってきた


若い女が2人

ひとりは白人、ひとりはインド系の顔立ち

ふたりとも裸にシーツだけを巻き付けて、無防備な逃走劇であったことがわかる


アレクは機体のホバリングを停止させ、小さなライディングギアで着地、コックピットのハッチを開けて身を乗り出した…


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