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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

(8)

ソニア・ミラーは助けてくれた見慣れぬ機体に近づいた


機体のマーキングから〈マグリッド軍〉なのは明白だ

また、新しい機体か…

ソニアは次から次に襲来してくる〈マグリッド軍〉のテストモデルに驚嘆した


白と金色のツートンカラーの機体はこちらに気づきホバリングを停止させる


コックピットハッチが開き、身を乗り出してきたパイロットの姿を見てソニアとノマは驚いた


荒くれた成人男性のパイロットを勝手に想像していたのだが、出てきたのは若いパイロット

それも思春期ぐらいの男の子だった


アキラと歳が近いな…
新人テストパイロットだろうか?


「ありがとう!若いパイロット君!助かったよ」


ソニアは片腕を上げて手を振った

ノマもペコリと頭を下げる


パイロットの若い男の子は顔に似合わず低い声をしていた


「かまわんよ、どうせ退屈でブラブラしていたんだ、それに張り合いも無かったしな
 アンタらは観光客か?それとも流行りの宗教かぶれかい?」


ククク、と嫌味な笑いをする


ソニアは“コイツ、性格悪そうだな”と思った


ソニアはノマの顔を見合わせてから、再び若いパイロットのほうを向いた


「正直に言うと私は連邦軍の兵士なんだ、まだペーペーだけどね」

パイロットの少年は「ん?」と顔を歪めた


「……どうして連邦軍の兵士が連邦政府のマンハンターに襲われてる? アンタ何かやらかしたのかい? なぜ、俺に打ち明ける?
 黙ってりゃあいいものを…
 ここでアンタを殺すのは簡単なことぐらいわかるだろう」


「助けてもらったから礼ぐらいするさ!
 本当にありがとう
 連邦軍と言ってもアイツラと仲良しでも無い
 昨日彼らに構ってやったからね、仕返しに来たんだろうよ」


パイロットの少年は呆れたようだ


「やれやれ連邦軍はノンビリしてやがるぜ
 アンタがそんな肉づきのいい身体をさらすからマンハンターが群がってくるだろうよ!
 身内同士の揉め事か、助けるんじゃなかったな!」


ソニアは巻き付けたシーツにこぼれそうな胸を気にして引っ張り上げた


「子どもがナマ言うもんじゃないよ!
 マンハンターもキミも、オンナを見つけたらすぐ性欲の対象に見るんだな!
 男はどちらも一緒だな」


ソニアも負けじと捨てゼリフを吐いた


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