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浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第35章 秘密警察の「人狩り」

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浮遊空母〈キュール・シュランク〉に戻ったソニアは早速タオと再会して抱き締めた


そのままふたりは激しく愛し合った


そして勤務終わりのノマも合流して3人で楽しんだ


3人でする行為は果てしなく、凄まじい疲労感に襲われるが満足感も大きかった


“これじゃああそこの若者たちと変わらないな”とソニアは思った


それでも悶え、喘ぐタオの表情を見ていると“愛おしい”と思えてきて不思議だ


“わたしは勝手な人間だったんだな”と思えてきてしまう


彼らが軽薄なら、私も軽薄だ


そしてアレクに言われた“浅はかな行動”のことを考えていた


強引な暴力を振るうマンハンターたちに嫌悪するも、周りから見れば同じ連邦の組織なのだ

もしかすると企業連合〈トランキュリティ〉のほうが筋は通っているのかもしれない……


私たちは連邦政府を守っているのか?

それとも民間人を守っているのか?

その民間人たちはあの〈修練場〉での若者たちのように軽薄な考え方で無気力に暮らしている


私たちは命をかけて戦って、彼らのために死んでいくのだろうか?


遠い宇宙ではダイクンの息子が新たな組織を立ち上げたという
 地球から人類を遠ざける、宇宙移民を解放する

そのスローガンを掲げた新生ネオ・ジオン軍は地球連邦政府に反乱の狼煙をあげたそうだ

地球から人類を遠ざけると言うのなら、マンハンターたちが行っている行為はネオ・ジオンと変わらないのではないか?
 不法滞在者とは言え、地球に居座る人間たちを強制的に宇宙へ移民させているのがマンハンター、連邦政府直轄の秘密警察なのだから


連邦も筋が通っていなければ、

連邦に所属している自分の行為も筋が通っていない


連邦軍に所属しながらも、連邦組織のマンハンターを敵視している…


“お前は何をやっているんだ!?”

とアレクに突き付けられたような気がするのだ



ソニアは横たわる裸のタオとノマの肢体を眺めながら自問自答していたのだった……



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