テキストサイズ

浮遊空母~ぼくの冷たい翼~

第7章 ~オーガスタ研究所~

やりきれない感情が脳内を混乱させる

“怒り”に支配されているヤンと、“喪失感”に支配されているアンジェラ

ふたりの身体はつながってはいるものの、心はお互い混沌としていたのだった




翌朝、アンジェラが目覚めたとき

すでにヤンは特別任務のためキュールシュランクから飛び立ったあとだった


全身素肌にシーツをまとわせながら、アンジェラは声もなくむせび泣いた



またひとりになってしまう


まただ・・・・



自身の予測しようとする感覚が恨めしい

何にも自分に与えてくれない


ふと案じたらは研究所になぜ来たのだったかしら、と過去を振り返っていた

義両親はいまどこで暮らしているのだろう

研究所からの仕度金で安全な土地へ移住できたのだろうか

そうだ、この前線での作戦が終わったらアメリカに戻って義両親を探そう

そして自分のこの不安な元凶となった研究所へも赴いてやろう

そして自分をこんなにも苦しめている研究を終わらせよう

まだあの主任研究者たちは居るのだろうか

鬼のように厳しいやつも居たが、母のように慕っていた優しい職員も居たはずだ

すっかり忘れていた!

なんて名前だったっけ

そうだ、キンバリーと言ったっけ!

あの人はまだ研究所に残っているだろうか

あの忌まわしきオーガスタ研究所に!

ストーリーメニュー

TOPTOPへ